はじめに
90年代からの右派勢力の台頭と日米同盟の強化は、沖縄戦の歪曲化と辺野古・高江への基地建設、米軍基地の自衛隊による共同使用化に象徴的に現れています。
日本の軍事大国化と軍事力行使がいよいよ切実なものとなってきています。財界のグローバリゼーションが増大していく中で、憲法9条を中心に改憲し、武力行使や米軍との共同作戦を地球規模で展開していこうとしています。
私たちはいま、歴史の岐路に立っています。この危機に当たり、私たちにやれることはたくさんあります。沖縄戦の教訓にたち、憲法に保障された平和・民主主義・基本的人権の確立を最大限に使い、一人がもう一人によびかけ、話し合い、「私たちはふたたび戦争の道を歩まない」の輪を広げていくことです。
1. 憲法改悪を阻止し、沖縄戦の実相と教訓の歪曲を許さない活動
戦争放棄と戦力不保持、国の交戦権不保持を宣言した第9条の抹殺を核とする憲法改悪をさせない活動を市民運動の大きな輪のなかですすめていきます。
また、沖縄戦記述の「集団自決」に日本軍の命令・強制・誘導の削除を求める検定意見の撤回運動を進めるとともに、「大江・岩波裁判」で完全勝利を勝ち取るための訴訟支援運動拡大するために、沖縄における中心的な役割を担う活動を引き続き展開します。
そのためにもプロジェクトを強化し、沖縄戦の実相と教訓を歪曲したり、無に帰そうとする動きに対して、調査をすすめ、学習会やシンポジウムの開催などに取り組みます。
2. 辺野古海上基地建設、高江周辺へのヘリパッド建設を断念させる運動の展開
在日米軍再編計画で日米政府は、普天間飛行場の代替施設を2014年までにキャンプ・シュワーブ沿岸部に移設することに合意し、今年3月からアセス法違反の「環境現況調査」を強行しました。8月からはアセス方法書の公告縦覧を始めましたが、専門家に「断じてアセスではない」と言わしめるほど、アセス法の趣旨を無視したものです。
昨年度、私たちは平和市民連絡会と連動し、辺野古新基地建設を断念させるために現場への座り込み、学習会の実施、関連する集会や県や那覇防衛施設局などへの要請行動に参加してきました。また、辺野古と連動する形で基地機能強化が推し進められている東村高江周辺のヘリパッド建設を阻止するため、8月から座り込みをしてきました。本年度も引き続き、この闘いに当会の主旨を活かして取り組みます。
ところで、この沖縄の闘いに対して政府自民党は、国会やマスコミを通して二つのキーワードを駆使しています。「沖縄の基地負担軽減」と「反対派がいるので情報を公開できない」ということです。この二項対立を描くことによって、沖縄の闘いを国民の目から遠ざけようとしています。
軍隊の存在を否定し、米軍基地の撤去を闘ってきた沖縄から、基地建設を認めることはできません。私たち自身も、反基地の闘いの場面に積極的に出て行くとともに、平和ガイドや様々な媒体をとおして、沖縄の現状を積極的に発信していきます。
3. 平和学習の充実
安倍政権の瓦解に伴う自民党総裁選挙において、奇妙な現象がありました。安倍氏とともに右派勢力の中心的な政治家である麻生氏への若い人たちを中心にした応援コールです。このこと自体は全国的な流れとは言えませんが、しかし、私たちが修学旅行における平和学習を通して関わる世代です。格差社会の中で自らの存在に不安を感じている世代に対して、沖縄から何をメッセージとして発しなければならないかを考えていかなければなりません。
さて、沖縄における平和学習が始まり、20年余になります。当初、平和学習が中心となっていた沖縄修学旅行も質的に変化をし、沖縄修学旅行の中の一つのプログラムとして平和学習が位置づけられ始めています。本来の平和学習の目標が薄れてしまい、観光化の一途をたどっております。「平和ガイド」の存在意義が曖昧になってきました。平和ガイドはなぜあるのか、今後どのように展開することが必要なのかを問い直す時期がきています。本年度も昨年度に引き続き、平和学習の観光化に抗する取り組みを実施してまいります。
首都圏の会における学習会の充実を図るとともに、ホームページを活用した情報発信、修学旅行担当者とのコミュニケーションづくり、改善していくことは多々あります。一歩ずつ着実に実行していきながら、常に今の視点から平和学習を創造していく必要があります。
現在、当会に対する平和学習における平和ガイドの依頼は、県外の学校や団体が大部分を占めておりますが、県内学校に対しても平和学習の協力体制を積極的につくっていきます。
4. 戦争遺跡の保存と活用の運動を展開
沖縄における戦跡保存の取り組みは、平和学習への活用が先行する中から生まれてきました。そして、沖縄県史をはじめ、各市町村における住民の戦時体験記録の取り組み、平和資料館づくりの延長線上から沖縄陸軍病院(南風原陸軍病院)の全国に先駆けての文化財指定がされました。
1995年には文化財保護法改正がきっかけとなり、戦争遺跡の保存・活用の運動が盛んになりました。その運動を牽引する戦争遺跡保存全国ネットワークは、本年度の総会において、2年後に全国大会を沖縄で開催することにしました。第2回戦争遺跡保存全国シンポジウム南風原大会に引き続き2度目となります。全国の仲間を迎えるためにも、本年からその準備を始めなければなりません。
しかしながら、沖縄における戦争遺跡の文化財指定は遅々として進んでいません。私たちの運動の弱さもありますが、県や市町村自治体の取り組みの弱さもあり、文化財指定基準の改定を行っている自治体は数カ所に限られています。法的な整備を積極的に働きかけるとともに、私たちが平和学習で活用している戦争遺跡、文化財・ガマ部会で調査を進めているガマや壕などの戦争遺跡を保存公開するよう働きかけます。
戦争遺跡保存・公開の運動の展開は、地道な調査研究の積み重ねです。関係者及び団体と共同して戦争遺跡の実態を明らかにし、そしてそれらを公表(当会では書籍とビデオ制作)して県民の財産にできるよう努めます。全国から学び、地域から学びながら、本年度も調査研究と保存活用の運動を進めてまいります。
また、戦争遺跡保存全国ネットワークについては共同代表を出している団体として、その運動を担える活動を展開します。戦争遺跡の保存・活用の先駆的な役割を担ってきた沖縄から、全国に発信していきます。
5. 新たな学習の場面を創り出す
加速度的に「戦争のできる」国づくりがすすむ状況下では、情緒的議論ではなく、科学的・実践的に裏打ちされた事実の整理が必要であり、会員相互の情報の共有が不可欠になります。情勢に応じた的確な学習会を展開すると共に、その記録化をすすめます。
そこから県内外の会員をはじめ、一人より二人、二人より三人というように、輪を広げることによって、未来へ平和をつなぐ学習運動に取り組みをしていきます。
6. 「大江・岩波裁判」支援と教科書検定撤回のたたかい
「大江・岩波裁判」については、来年3月にも第一審での判決が出されるでしょう。完全勝利へ向けて沖縄の声を届けると同時に、二審・三審の最後まで手を緩めることなく闘ってゆきます。そのためにプロジェクトを継続し、再編強化していきます。
当面は、教科書検定意見撤回を求める運動を展開している「平和教育をすすめる会」の重要な推進団体として、取り組みを強化していきます。
7. 他団体との連携
2・11建国祈念の日に反対する実行委員会と6・23国際反戦集会実行委員会、平和市民連絡会への参加、基地部会と沖縄県平和委員会などとの連携が広がっています。また、基地問題を環境の側面から捉え、運動を展開している団体との関係も繋がってきております。より一層、平和のための連携を広げてゆきます。
辺野古新基地建設、高江周辺のヘリパッド移設阻止、都市型戦闘訓練施設建設などの反対運動に対して、当会の特色を生かした関わりを積極的につくっていきます。
8. 会員拡大と財政問題
やらなければならない課題は私たちの前に山積しています。それに対して、私たちはあまりにも微力です。会活動を充実させ、財政を安定化するためにも、会員拡大と従来の会員への継続を呼び掛けていきます。平和学習の質的変化の中で、私たち自身がマンネリ化しないためにも、学習し、新しいエネルギーを取り入れてゆくことが急務です。
平和学習の必要な書籍や映像資料の委託販売を増やしながら、会独自の学習資料を作成し販売します。また、これまでの会報内容を編集し、出版して普及していくとともに、会の財源づくりにも活かしていきます。
部会活動を効率化して軽費を削減し、財政問題の改善をはかってまいります。