2005年5月29日(日)

自衛隊基地調査(中北部)報告

はじめに

 梅雨の合間をぬい、青空も見える天気に参加者の気分も上々です。参加者は部会長ほか7名です。

 今回の調査は「中北部の自衛隊基地」になっていますが、沖縄県の自衛隊施設は本島南部に集中しています。面積比較でいえば約7割が南部に集中しているそうですが、驚いたことに全面積の54%が県都那覇市にあるということです。これは元をたどれば、そのほとんどが米軍施設からの移管(引継ぎ)ですから、沖縄戦による米軍占領の“負の遺産”ということができるかもしれません。

 さて中北部の自衛隊の基地・施設ですが、8か所の陸・空・海の自衛隊基地・施設があります。今回、その半分の4か所、北部地区中心に周るだけで精一杯で、中部地区は引き続き実施するということです。


自衛隊施設で本島最北端の「国頭受信所」

 自衛隊施設で本島最北端にあるのが「国頭受信所」(海上自衛隊)です。国道58号線を北上し、辺土名を過ぎて「伊地」集落を右折、山に上がって行った所にありました。任務は、P3C(対潜哨戒機)と陸上基地間の交信を確保するための後方支援施設となっています。

 ここは二重の鉄条網に囲われています。なかの隊員に聞くと、鉄条網の間にシェパード犬(4頭)を放しているそうで、不法侵入者に猛犬を襲わせるというやり方です。入口には監視カメラも設置され警戒は厳重をきわめています。



山中にひっそりとある
国頭受信所の入り口

 施設内には高さの違うアンテナが4基設置されているということですが、その通信機能のために31.6 haの大きさ(甲子園球場の約8倍。中北部の自衛隊施設のなかでは最も面積が広い)があるのはなぜなのか、その厳重な警戒はなぜなのか、など疑問がわいてきます。参加者の一人、大野実久さんは「入口の施設名が、自衛隊という名称を使わず『受信所』としか書いてないのは何か理由があるのではないか」と名称にもこだわっていました。



地元住民の猛烈な反対にあい、空き地になっている「本部送信所」



団結小屋の前で
話し合う一行

 本部半島の豊原、戦後、米軍が建設した桃原飛行場跡に、海上自衛隊の「本部送信所」(29.3 ha)施設予定地があります。予定地というのは、ここはP3C(対潜哨戒機)との送受信を一体化するため前述した「国頭受信所」に対応する送信所建設を予定していましたが、地元住民の猛烈な反対にあい、この13年、建設できずにいる、機能しない軍事施設となっているからです。いまはたんなる空き地にしか過ぎないこの施設に国は年間4千6百万円もの賃借料を払っています。これは税金ですから、まったくの無駄遣いの例ですが、一方、防衛庁は送信所建設を断念したとはいっていませんので、いつそれが復活してくるのかの心配もあります。いまだ「団結小屋」は残り、いざ出陣の際の住民の闘う「砦」は健在です。

 「国の意図を押しとどめ反対する力があったのに、なぜ土地の返還を求めなかったのだろうか」という疑問が出ました。ここは63%が私有地です。13年前、この建設反対運動を支援した大野さんは「この予定地の多くは都市に移り住んでいる不在地主のもので、いまさら返還されるより軍用地料をもらったほうがよい」という当時の集落の事情、経過を説明されました。



PCB汚泥の入ったドラム缶1050本分が保管されている恩納分屯基地

 「那覇基地恩納村高射教育訓練場」(26.9 ha)は、中北部で唯一の航空自衛隊施設で、「パトリオット・ミサイル発射施設」が存在します。恩納村側ある「運用地区」のほか、石川岳頂上付近に「通信地区」があり、金武町にもかかっています。

 58号線から高台に少し入ると門柱に「航空自衛隊恩納分屯基地」と書いてあります。この運用地区には、1995年、米軍「恩納通信所」が返還されたとき跡地からPCBなどの有害物質が検出され、あわせて米軍施設を継続使用する恩納分屯基地内でもPCBが見つかり、その汚泥の入ったドラム缶1050本分が保管されている場所でもあります。そこで「環境ネットワーク」の会員でもある川満昭広事務局長が門前で、PCB問題にかかわって施設内の見学を申し入れましたが断られてしまいました。

 汚泥を村外に撤去せよと村、議会、漁協など一致して要求してきたところ、昨年9月、恩納村の村長は突然、PCB汚泥処理施設を恩納分屯基地に建設することを受け入れると表明し、村内から厳しい批判を受けました。最近では北谷の米軍基地の返還地でPCB汚濁問題が大きく取り上げられましたが、もともと米軍が原因をつくっているにもかかわらず、地位協定第4条の“施設返還後の原状回復義務の免除”で米軍に何らの責任をとらせないという不当な壁が大きな問題をつくりだしているといえます


自衛隊問題は今後、ますます重要に

 このほか、石川岳の「通信地区」、そして沖縄市にある陸上自衛隊「那覇駐屯地白川高射教育訓練場」の「白川分屯地」(管理地域)の施設を外から見学しました。

 いま米軍再編成問題は日本にとって、沖縄にとって重大問題です。米軍基地は一日も早くなくなって欲しいと思う半面、そうしたらその分、自衛隊が肩代わりしてくるのではないか、という危惧もあります。いま沖縄にとって、自衛隊の比重がそれほど大きくないとこともあり、私などは軽視しがちなのですが、米軍と自衛隊の共同強化とか、米軍基地「縮小」と見せかけて自衛隊に機能を肩代わりをさせるなどの動きが強まっていますから、自衛隊の問題についても関心を強くしておくことは大事だと改めて考えています。

 誰でもが参加できるこのような企画は大切です。あることを知らない会員もいると思います。沖縄平和ネットワークのホームページも含めた活用で広げていかれればよいと思います。


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