(第61号;2007) 新垣仁美 「エコロジ−ショップをしていて思うこと2 フェアトレードから日頃のお買い物について考えよう」
みなさんは、普段、作り手のことを意識してお買い物をしたことがあるだろうか?
私が働くエコショップでは、現在、ネパールやバングラデシュで作られた服やバッグ、食料品や雑貨など、発展途上国に住む人々の生活を支援するための手工芸品を扱っている。
これらの商品は「フェアトレード商品」と呼ばれ、名前の通り「フェア=公正な」「トレード=貿易」で取り引きされたモノという意味である。主に東南アジアやアフリカなど、途上国の生産者が製作したものを、適正な価格で買い取って販売をし、現地の生活向上を支援しようという取り組みで、よく“お買い物でできる国際協力”などとも言われている。
現在、経済のグローバル化によって、様々な海外の製品、特に安いものなどが身近に手に入るようになったが、その背景には、安い労働賃金で働かされている人々や、大量生産や単一耕作によって発生する環境問題など、現地を脅かしている現状がある。
特に、発展途上国などでは、間に入る仲介業者や流通業者などが不当な利益を得ることがあるため、生産者には働いた分に見合った賃金がもらえていない状況があったり、技術力のある先進国の商品と世界市場で競争すれば、安く買い叩かれてしまうなど、働いても貧しさから脱出できない状況がある。その他、国によっては、階級や身分の違いで、仕事に就けないということもある。
以前、テレビ番組の中で、アフリカの児童労働について取り上げたものがあり、まだ10才にも満たない幼い兄弟が農園主の下で働き、カカオの実を収穫しているシーンがあった。一日中次から次へと仕事尽くめで体はヘトヘトな上、高くて危険なカカオの木に登っての収穫。それを見ただけでも、とても心痛かったのだが、一番ショックだったのが、「自分たちが収穫しているカカオはどこでどんなモノになるのか分からない」という幼い子どもの言葉だった。児童労働の上に成り立って、あのおいしいチョコレートは私たちの口へと運ばれるのかと思うと、それ以降、しばらくチョコレートは食べられなかった。その日を境に「食べない」と決心をした;はずだった。が、意思の弱さもあり、長くは続かなかった。現在はなるべくフェアトレードのチョコレートを食べるようにしている。
このような環境におかれている子ども達は、世界に数え切れないほどいるだろう。さらに、安い労働賃金で働かされている人々、身分により仕事に就くことができない人、この世の中は、アンフェアなことがはびこっていると感じる。生まれた国によってこんなにも生きる環境は違うのか。豊かな国に生まれた私には理解できないことが途上国では実際に起きている。
公正でない貿易の実態を知った時、仲買人や一部の権力者、先進国だけを悪者扱いしがちだが、残念ながら私たち消費者も、消費活動を通じて間接的に関わっている。消費者が安さを求めるその流れが、今の経済構造を支えているのだ。決して、途上国の貧しさとは無関係ではない。
今の経済構造を変えていくためには、違うやり方もあるのだということを世の中に示していく必要がある。その一つの取り組みとして、フェアトレードが行われている。フェアトレードがすべてではないが、実際に取り組まれ、身近に参加することができる具体的な方法である。また、単に、お金を与えられるだけの支援とは違い、あくまでも生産者自身の自立を目的とした活動であるという所もとても大事な部分だと思う。
私たち消費者にとって安さは味方であるが、なぜ安いのかという事を考え、その裏に隠された部分をもっと知ることによって、今の現状を変えられるのではないか。知らないことは本当に罪であると感じる。
環境に配慮した商品も大事だが、同時に、人に(作り手)配慮した商品も求めていかなければならないんじゃないかと思う。作り手にとっても買い手にとっても気持ちのいいお買い物ができれば、とてもいい。
今回、毎年5月の第2土曜に行なわれる「世界フェアトレードデー」に合わせ、県内でも5月半ばから5月末までフェアトレード商品を扱うお店やNGOが協力し各地でキャンペーンが行なわれる。ぜひこの機会にモノを作る人の気持ちに思いを馳せてみてはどうでしょうか。