2005年10月10日(月) 
第12回沖縄平和ネットワーク総会記念講演
 
安島太佳由 「全国の戦争遺跡が教えるもの」


講師の安島さん

 安島さんが戦争遺跡を撮りはじめたのは、トカラ列島悪石島で「対馬丸」の慰霊碑と出合ったことがきっかけでした。「こんな小さな島でも戦争と無関係ではなかったことに感慨深い思いを持ちました」(著書『日本の戦跡を見る』より)。あれから11年の歳月をかけて、今年ようやく全国47都道府県の戦争遺跡を訪れることができたそうです。

 

 安島さんの写真にはいくつか特徴があります。ひとつはすべてモノクロであるということ。いま私達の目に映るのは、すべてカラーです。様々な色彩を帯びた、現実の世界。しかし、戦争遺跡は60年以上前の姿を今に伝えるもの。写真を見るときにはその時間を越えて「見る人がそれぞれに想像して欲しい」と安島さんは言います。目に見える遺跡のみならず、その背景までも、できるなら思い描いて欲しいのだそうです。

 もうひとつ、人間が写っていません。「遺跡自身が訴える苦しみ、嘆き、怒り、悲しみを受け止めて欲しい」から、敢えて人を入れないのだとおっしゃいました。安島さんは「写真は『説明』してはだめなんだ」と語る一方で、この「訴え」を受け止めるのに最低限必要な情報を、私たちに語ってくださいました。

 この日は沖縄を除く全国の戦争遺跡40枚の写真を見ながら、その建設過程と使用の実態、戦後と今を説明いただきました。県外の戦争遺跡を見たことで、いかに沖縄が本土決戦のための捨石であったかが、まざまざと伝わってきました。

 参加者の一人、沖縄戦体験者である安里さんは「戦争遺跡は沖縄だけのものと思っていました。でも、こうして全国のものを見ると、改めて過去の戦争を実証するものとしていかに重要であるかが伝わってきました。ガマなど、大切な戦争遺跡がいつ崩れてしまうかもわかりませんから、遺跡を守ることも重要な仕事だと感じました。目に見えるものはやはり大切です」と感想を話されました。この発言を受けて安島さんも「最初は人(戦争体験者)を記録しようとも思いました。しかし、体験者が亡くなっていかれるのと同じように戦跡もどんどん無くなっていく。壊されていく。物言わぬ戦跡に何を語らせるかも、生きている人間のやるべき仕事と思いました」と。

 体験者の証言と戦争遺跡、どちらも戦争を体験したことのない者の想像を助け、学びを共有するために不可欠なものです。今年一年の私達の活動にも大きな示唆を与えていただきました。

文責:事務局


自身が撮った全国の戦争遺跡の
写真をみながら話はすすんだ

これは大久野島の写真
野生化したウサギが写っている



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